99/05/29

相良さんの山荘の生活もなかなか大変です。すべてを自分でやらなければならないからです。例えば草刈りです。人が日常歩くところは草を常時短く刈っておくことが必要です。というのは伸びた草の葉の裏にチック(Travel Diary 1999年5月16日のページ参照)がついていて、そこを通る人間に飛びつくからだそうです。つまりチック対策として草刈が最もベーシックな方策であるからです。夏の草の伸び盛り時は3日目にははや再び刈らねばならないそうです。相良さんの広い庭を1日に三分の一刈ることにすると、毎日続けて刈る必要があります。

相良さんは小型の草刈機を持っています。これが順調に動いてくれれば一日に約1時間草刈に割けば上述の目的が達成出来るのですが、そう簡単にはいきません

まづどう云うわけかタイヤがよくパンクするのだそうです。彼はパンク修理に必要な道具類をすべて持っており、修理に熟練していますが、炎天下のパンク修理は中々大変です。また草刈機が故障するとこれを町の修理屋に運んでいかねばなりません。彼の小型トラックの荷台に淑子さんと二人だけで積み込まねばなりません。坂に車を止め上から渡り板で載せるのだそうですがこれも大変な仕事です。

テレビを見るのも容易ではありません。ケーブル・テレビが来ていません。山間のため地上波のテレビはオクラホマの局だけが見えます。この地区の気象予報が極めて大事ですが、オクラホマとの州境に近いここではこれで助かっています。先日のトーネード襲来の時も雲の動きを刻一刻知ることが出来ました。これ以外は衛星放送に頼るしかありません。

庭に直径2メートル位のパラボラ・アンテナが立てられています。先年まではNHKの海外放送をこれでキャッチして楽しめましたが、最近になってデジタル放送になったため受信出来なくなってしまいました。

ケーブル・テレビがありませんから、今は日本語放送を全く見ることが出来ません。アンテナは地面に深く差し込んだパイプに取りつけられていますが、大風の為に受信アングルが少しづつずれて、今はPBS放送しか見えません。

ところで相良さんの山荘を建築したのは隣の牧場経営を本業とするフレッド・ホールデンさんだそうです。彼は優れた大工であるばかりでなく、電気工事、プランビングなどの免許を持ち、普通は数人の専門家を必要とする建築をほとんど独りでこなすことが出来るそうです。家の土台はこの丘陵によくある濃い紫色をしたごつい石を積んで固められ、その上に幅5横3の割合の木造平屋ががっちりと作られています。家は南面しており、南側は殆ど全面ガラスの引き戸、東および西側は上半分がガラス引き戸、北側は左右が同じく上半分ガラス引き戸となっていて朝から夕方まで陽が差し込んでくる構造になっています。トーネードが先日襲来した時、この家の周りでも強い風が吹きました。

普段は左の写真のようにふっくらと枝を広げている樫の木が、この日は右に倒れかかるように大きく曲がり、葉が裏返しになって白く波打って見えました。

(その瞬間を撮ろうと何遍か試みましたが、私のデジカメはシャッターが重く何回押しても一瞬遅れになりうまく撮れませんでした。)そういった強い風が吹きまくっているのに家の殆ど全面を蔽っているガラス引き戸がびりつくこともなく、隙間風も全くありませんでした。東京の我が家は鉄筋コンクリート建てにもかかわらず強い風が吹くとピーピーと隙間風の音がします。サッシの構造も良く、且つ取り付け技術も優れているからかと思います。こういった山中にも高水準の建築技術があるのに感心しました。

明日に続く

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